ペロちゃんは皮膚科専門医のいる病院に通院して、マイクロニードルという剣山のようなちくちくの針で体中を刺すという
なかなかに痛そうな治療を2回したそうなのですが、全く効果がなかったそうです。
3回目は無料でいいから試させてほしいと言われたけどかわいそうだったからやめたとのこと。
そりゃそうです。
あくまで私の周囲での話になりますがマイクロニードルで生えたという例はなく、
マイクロニードルでダメだったけど当院の治療で生えたという子は4例くらいいます。
結構皮膚科の先生マイクロニードル推しの方が多いんですが、どうなんでしょう?
もちろん、治療には相性があり
マイクロニードルで生えたら当院に治療に来ることはないでしょうし
当院の治療で反応がいまいちだったけどマイクロニードルで生えた、
という子もいるのかもしれませんので一概に否定はできませんが、
感覚としてはそれほどおすすめの治療法ではありません。
全身赤ムケになっちゃって痛そうですし。全身麻酔での処置というのもちょっと戸惑う要因ですよね。
そんな感じでいろいろな治療を試したけど反応がなかった、
という子だったので治療にも時間がかかるかもしれないし
反応も悪いかもしれませんよ、お断りをして
長期戦のつもりでスキンケアと投薬とお灸をお試ししたところ、
1か月後にはびっくりするほど生えていました。
いろいろな要因が絡み合ってのことかもしれませんが、飼い主さんと一緒に大喜びしました。
何犬かわからない見た目だったのが、6か月後にはしっかりポメちゃんとわかるくらいのふわふわに。
おしりが生えるのにはずいぶん時間がかかりましたし、冬が来ると調子が落ちたりいろいろしていますがいい感じに維持ができています。
マイクロニードルもお灸もどちらも皮膚に強い刺激をあたえることで発毛を促すという方法です。
面白いことに、アロペシアXでは、
皮膚生検(2センチ角くらいの皮膚を局所麻酔で切除して検査をする方法)の跡から発毛したり、
同居犬などとのけんかした傷から発毛したり、膿皮症の後から発毛したりと
皮膚に深めのトラブルが起きると発毛が起こることが知られています。
強めの刺激で寝ていた皮膚がえらいこっちゃと起きるのかもしれません。
その刺激のかわりになるのがマイクロニードルやお灸なのではと考えています。
お灸をした部分だけから生えることもありますし、背中全体から生えてくることもあります。
お灸による発毛効果は雑誌獣医皮膚科に症例報告をレポートしており、表紙も飾りました。
全文はこちらで読むことができます。
このとき論文作成をお手伝いしていただいた大隅先生は大学病院にお勤めでもあり
獣医師向けの二次診療もされている専門医の先生ですが
直接大隅先生からアロペシアXの症例を何例もご紹介いただくようになりました。
「僕より生やすの上手だから」とのことです。
私の成果を認めてくださってうれしい限りです。
私も皮膚科でわからないことがあると質問をさせていただくこともありますし、
自分の得意不得意を認識してより上手な人がいればお願いする、
というのはとても大切なことだと思うのです。
ひまわり動物病院では動物病院からの症例のご紹介も積極的にお受けしております。
公式LINEにご登録の上、ご連絡をいただけますと幸いです。
かかりつけの先生と協力しながら、上手にお付き合いしていきたいと思います。