こちらは2022年4月末に手術を受けたダックスさん。
左の写真は5月半ばのものでその後2か月たってもほとんど発毛していなかったのですが、
7月に入ってから急激にもりもりと毛が生えてきて
たった2週間でほぼほぼ生えそろってきました。
この発毛の前後にあったのは、発情出血(生理)。
避妊手術の有無も不明だったため、最初は血尿?外傷?とちょっと混乱したくらいでした。
調べてもらうとこの子は保護犬で当初脊椎骨折による後肢麻痺もあったため、
避妊手術をせずにとりあえず腰の手術を先にしたそうで。
いつの間にやらたくさんの脱毛症例を診察することになり
脱毛症例のみの問診フォームも作ってまとめているのですが
脱毛する子の性別は雄雌どちらもあるのですが、
管理のしやすさで行くと
未去勢雄>>>避妊雌>>>>>>>去勢雄
なのです。
最近は去勢していない男の子の脱毛症がくると「やった!!」と思うくらいです。
で、避妊していない雌の子は今までほぼいないんですよね。
これまで200症例弱の子を見ていて、半年以上などある程度の期間治療している子は一例もないんです。
もともと未避妊未去勢の子のほうがずっと少ないので、単純に比べることはできないし
女の子の方が乳腺腫瘍の危険性や生理の時の管理もめんどくささもあるので
避妊手術を受けていない子は去勢手術を受けていない男の子より
ずっと少ないのもあるかもしれませんが、
未去勢雄は10例弱いるので絶対数がそこそこ増えてきたら
1例2例いてもいいのでは?と思わなくもないのです。
話を戻すとこの子は「管理も楽だし別に毛は伸びなくてもいいよね」と毛に対しては特に何もせず
術後の3か月間主に脊椎骨折の後遺症の治療をしていたのです。
で、この7月頭までの3か月弱ほぼ毛は伸びずで、急にここ1週間でもりもり伸びだした。
発毛にはおそらく性ホルモンもかかわっていて、治療にもそのあたりのお薬を使ったりします。
今回は生理が来たことで停止していた毛周期がふと目覚めたのかもしれません。
足の裏の毛ももりもり生えてきて、
「前のほうが管理楽だったのにねぇ」と飼い主さんはあまり喜んではいません。
脱毛に悩む皆さんからするとうらやましい限りかもしれませんが
おむつ付きで介護するとなると毛はないほうが楽だったりしますしね。
状況が変わればほしいものも違ったりするのです。